こんな日だからボリス・ヴィアンの「脱走兵」を歌う

b-vian-le-jazzはじめてパリに行った。25年前にアテネ・フランセに通っていた。フランス現代思想や文化人類学への憧れもあったが、フランス語を学びたいという気持ちにさせたのは、ボリス・ヴィアンの存在だった。

ボリス・ヴィアンが自分が原作を書いた映画「墓に唾をかけろ」の試写の最中に「死ぬほどつまらない」といって本当に心臓発作で死んでしまったのは1959年。

最近では日本映画「クロエ」、フランス映画「ムード・インディゴうたかたの日々」の原作者として名前が挙がることが多いが小説家としてだけでなく、詩人、劇作家、技師、SF画家、トランペット奏者、そしてシャンソン歌手、シンガーソングライターとしても名曲を数々残している。

ボリス・ヴィアンのシャンソンの中でも最も著名で今でも数多くの歌い手に歌われているのが「脱走兵 (Le Déserter )」だ。

YouTubeには日本語訳で沢田研二が歌っている動画もある。
フランスといえば自由の国の象徴のようなイメージがあるが、この「脱走兵」が発表された頃のフランスはインドシナ、アルジェリアといった植民地を抱えていたいわば戦時体制に近い状況だった。たちまち「脱走兵」は放送禁止となってしまう。

こんな詩である
大統領閣下 お手紙を差し上げます
お時間のある時に読んでください
たった今、水曜日の夜、召集令状を受け取りました

大統領閣下 私は戦争をしたくありません
罪のない哀れな人々を殺すために私は生まれてきたのではありません

あなたを怒らせたいわけではありませんが
でも言わねばなりません 私の決心は固いです
私は脱走します

もし血を流さなければならないのなら
ご自分の血を流しなさい
あなたはとんでもない偽善者だ 大統領閣下

私を探しているなら憲兵に伝えてください
私は武器をもっていないことを
そして引き金をひいて撃ち殺しても構わないと

 

強行採決があったこんな日だから、今宵は「脱走兵」を歌った。

Le Déserter Boris Vian「脱走兵」ボリス・ヴィアン

 

 

 

投稿者:

cheikeda

Singer/Songwriter. Tokyo,Japan. 「エキストラたちの咆哮」「ゲリラ闘争記」がiTunes、Amazon、Google Playなど32のストア、187ヶ国で配信中。 グローバルビジネス、空手、音楽、映画、思想、人類学、メディア論などが関心領域。ギター(ギブソン J-45)を引っさげて吉祥寺、練馬、所沢、新宿などで活動。「独立メディア塾」第2回優秀賞受賞(オープントーク部門)。著作「群なす雛たちへ送るエール」(群雛文庫)。